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第1回空道アジアカップ参加者レポート

日進支部 神山 信彦

10月4日にモンゴルはウランバートルで開催された「第1回アシアカップ」に参加させて頂きました。その報告をさせて頂きます。

今大会には、塾長を含め、選手、審判、コーチ、事務局の17名が日本代表団として参加しました。大会結果は周知の通り、-230、-240、女子の三階級をとりましたが、どの試合も僅差での勝利でした。試合内容は高橋師範が細かく報告されていますので、ここでは省かせていただきます。

毎度、海外遠征や国際試合で感じることは、日本人の力の無さです。技術に関しては、海外選手も年を重ねるごとに技術のある選手が育ってきてはいますが、まだ日本人の方が勝っています。しかし、体幹の強さ、ひと突き・ひと蹴りの力強さを比べると、海外の選手に比べ日本人は劣っていると感じます。まずは、突き・蹴りの基本を再度見直し、しっかり身に付けて欲しいと思います。これは空道全体にいえることですが、本人は、できているつもりになっていても、基本が定着していない選手が多く存在しています。今大会でも、正確さに欠けた突き・蹴りであったために、技が相手に決まっているにもかかわらずダメージのある決定打とならない場面が多々ありました。正確な基本が体に身に付いていれば、もう少し違った試合展開になったのではと感じましたが、試合全体を通しては、迫力のある熱戦の多い試合内容でした。

次に、空道の試合の展開についてです。

空道は、打撃系総合武道です。総合だからと言って、全ての技の達人になる必要はありません。肝心なのは、打撃を中心とした技全体のバランスです。打撃だけ、投げだけ、寝技だけと、個別に特化していても海外の選手には通用しません。

中でも特に寝技に関して気になることがあります。数年前、格闘技界に寝技ブームが到来し、その波は空道にも影響を与えました。選手の中にも寝技に重きを置き、熱心に稽古に打ち込んでいる選手をみかけます。しかし空道のルールでは、3分の試合の中で、寝技は30秒の2回、試合時間全体の3分の1しかありません。そうした側面から、何に重点を置く必要があるのか、どのような試合運びをするのかを考え、試合に対する稽古の取組み方を考え直す必要があると感じます。

先にも述べましたが、選手の体力はやはり不足しています。体力といってもいろいろありますが、特に体幹の強さ、腰の強さ、馬力などです。日本代表選手の体つきを見ても、海外の選手に比べ線が細く、胸板が薄いと感じます。ウエイトトレーニングを多くやり込み、ビルーダーの様な体になることを要求しているのでありません。しかし最低でも、ベンチで100kg、スクワットでも体重の1.5倍は担げないと海外の選手と当っても技は通用しません。ぶつかっても飛ばされてしまします。海外遠征に行く度、国際試合の度、日本の選手が海外の選手に飛ばされる場面を幾度となく見てきました。「技は力の中に有り」これが現実です。小手先の技ではなく、下半身を土台とした安定した基本を身につけることが肝要です。そしてある程度の体力があってこそ基本が生き、強靭な体と揺るぎない基本があってこそ初めて様々な技の展開ができるようになります。力なくして、基本なくして技は生きません。力と土台、技が合わさってこそ海外選手を圧倒できます。今の選手は、体作りや基本ができていないうちから技に飛び過ぎと感じます。世界大会を目指しているのであれば、もっと体づくりに取り組み基本を定着させ、その上に技を練り上げなくてはいけないと考えます。

戦い方にしても、海外の強い選手は、既に空道としての総合的な戦い方を確立しています。時代の流れや流行で「◯○スタイルが最強だ」と持て栄されますが、その都度戦い方が変化するようでは国内の空道独特の戦い方の確立はできません。力や体幹の強い海外選手相手に何ができるのか、どのように戦い方を組み立てるのかを熟慮する必要があります。こういった戦い方の確立のため、若い選手だけでなく、支部長・指導員も海外へ出て実情を把握すべきだと感じます。

最後に、これは試合の所見とは異なりますが、海外遠征へ行かれる選手へ一言付け加えておきます。海外で試合をする選手は日本を代表して参加していること、本部やそれぞれが所属する支部の支部長、塾生など、様々な方々の支援や協力を得て参加していることを忘れないでほしいです。そして大会で良い成績を納めるなど実績を挙げたから当然の権利だと主張するのではなく、常に代表である責任と自覚を持って参加してほしいと願います。

報告は以上です。

今回も、塾長を始め、飛行機の手配から現地でのサポートをしてくださった本部事務局には大変お世話になりました。代表選手の皆さん、お疲れ様でした。

文末になりましたが、毎度遠征の度に支部で留守を預かってくれる塾生やご理解ご協力を頂いている保護者の皆様、快く送り出してくれる妻と娘たちにこの場をお借りし感謝したいと思います。ありがとうございました。

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