オーストラリア遠征レポート伊藤紀夫(成田支部)

押忍
この度はオーストラリア遠征に審判・セミナー手伝いとして同行させて頂きました。当支部のキーナン(選手として参加)共々、貴重な体験の機会を与えて頂き有難うございました。

4月17日

丁度業務の忙しい時期と重なってしまい、17:30成田第二ターミナル集合というのに、午後になっても仕事が片付かず、焦る。
集合場所の成田空港内に勤務しているというのに、僅か300メートル先の旅客ターミナルが遠い・・・。
飯抜きで走り回り、何とか間に合いました。仕事場脱出!
大荷物を担いでヘロヘロの足取りでターミナル内を歩いて行くと、遠くに塾長と奥様が見えました。この瞬間にやっと中年サラリーマンモードから空道モードへ変換。
「押忍!宜しくお願い致します!」とターミナル内で大声&十字礼。

今回の遠征メンバーは東塾長と奥様、コノネンコ師範(東北本部)、中川支部長(多賀城)、目黒選手(長岡)、そしてキーナンと私の7名。
初めての遠征参加でキーナン共々緊張しておりましたが、チェックインが終わり、「んじゃ、ちょっとやっか」との塾長の御先導による、ビール&ラーメンの禊ぎが終わる頃には気持も落ち着きました。御馳走様でした。押忍。
JAL771(19:50)で出発。

4月18日

9時間爆睡している内に、あっという間に機はオーストラリア・シドニーの空港に到着しました。
荷物を受け取り、すぐに国内線へ乗り換えて首都キャンベラへ。
これもあっという間に着き、ポール支部長とAIS(オーストラリア・スポーツ研究所)の理事のデイビッドさんが迎えに来てくれました。
全てが順調と思いきや、いつまで待ってもキーナンの預け入れ荷物が出てこない。何と行方不明になってしまったらしい。「あれに空道の道具全部入っているんですよ・・・」と焦るキーナン。とりあえず、見つかり次第宿舎に送るという事で、空港を出ました。 今回の宿泊・セミナー・試合会場となるAIS(Australian Institute of Sport)は国営のスポーツ研究機関で、素晴らしい施設と環境でした。

コンバットスポーツ用練習場

運動後のウォームダウンやリハビリが行える施設

リゾートホテルのような宿泊施設

日本にもこのようなアスリート用の国立スポーツ施設があるのでしょうか?※
ポール支部長はここのスタッフでもあり、ここで空道も教えているそうです。
このような組織に空道を(非オリンピック種目として初めて)加入させたポール支部長の手腕と影響力に脱帽です。
AISは、空道が将来オリンピックに採用される可能性がある種目として注目し、選手を育成していくとの事です。凄い事じゃないですか。我が国も見習って欲しい。押忍。

編集部注※ AISをモデルとして2001年東京都北区に国立スポーツ科学センターが開所されました。公式サイト

食事休憩の午後、セミナー開始。
直前にキーナンの荷物(どこへ行っていたのでしょうか?)が空港から届けられ一安心。
オーストラリア各地から集まった30名程が受講。
塾長自らの御指導で基本・移動の徹底。
コノネンコ師範による組技・寝技の基本の指導。
殆どの参加者が、総合格闘技や柔術等様々な格闘技を経験しているようですが、皆、熱心で謙虚に学ぶ姿勢があり好感を持ちました。 単なる格闘技術としてではなく、武道として学ぶ姿勢がありました。
先ほどのAIS施設での昼食の時も、ポール支部長から、「必ず手を洗い、帽子を取り、手掴みはせずフォークとナイフで食べて下さい。学生達の見本になるようにして下さい」と言われたのを思い出しました。普段の生活や心がけから律していくのが武道だと思います。日本では忘れられつつある武道的な心が、海外で注目され、育っていくのは日本人として誇りに思う一方、自分達こそしっかりしなければと感じます。

明日、審査会と国際交流試合(審査の組手も兼ねる)が行われるため、自由組手は行わず終了。
しかし、せっかくオーストラリア中から集まった方々だけに、自由組手もガンガンしたい様子。
19時から有志が集まってコノネンコ師範の号令・指導による組手中心の稽古開始。
明日試合に出るキーナンと目黒君も参加。怪我しない事を祈る。
こんな時に古傷が再発してしまった私と中川支部長は見学(明日の試合の為の偵察)。強いのがいるいる!皆実力のあるクセ者ばかりです。翌日の試合は、人数こそ少ないが、かなりの激戦になりそうだと感じました。

21時終了。
AIS周辺は既に真っ暗で、道路の車さえ疎ら、もちろん施設内での飲酒も禁止。大騒ぎなどもっての外。
明日の試合の後の打ち上げパーティーでは(空道的に)大騒ぎ出来るようなので、この夜は積極的にお休みなさい、という事で即寝ました。

4月19日

午前中は審査会。
日本と同じ内容でしっかりやったのですが、昨日はいなかった子供達や女子の動きが良い(特に組技)のに驚きました。これは将来強くなるだろうと思いました。

昼食休憩の後は、いよいよ『国際交流試合』。
大まかに指数別に分けた組み合わせとなりましたが、実力者が多く、初戦からキーナン、目黒両選手は苦戦を強いられました。
特に目黒選手をあわやのところまで追い込んだ選手(追い込まれたところから、パンチ効果を取り返した目黒選手も大したものですが)やキーナンの2戦目のジミー選手は特に強さを感じさせました。
コノネンコ師範(主審)中川・伊藤(副審)の三審制で試合審判しましが、審判故に日本選手二人の応援・セコンドは出来ず、内心ハラハラで観ていました。

キーナンは2戦目のジミー選手の腕十字を何とか脱出しましたが、この時に腕を変にねじってしまい、右腕の上腕と胸の筋肉を負傷。腕が上がらなくなり、残念ながら続行不能で敗戦となりました。
ジミー選手は19歳。オーストラリアの柔術大会で優勝した実力者で、突き蹴りもしっかり出せていましたので、更に成長したら世界大会でも上位で活躍出来るのではないでしょうか。
日本の試合ではこれまで殆ど怪我をした事の無いキーナンですが、オーストラリアでは相手も頑丈で、見事にやられてしまいました。
力ずくで行ってしまったのが敗因と思います。
残念です。しっかり対策をたてて出直したいです。
救急車で搬送され、病院で処置しましたが、とりあえず固定具で腕を固めて日本の病院で詳細な検査をする事になりました。

まずはしっかりアイシング

そして病院へ

御心配して頂きました塾長、奥様、病院へ同行して頂いたコノネンコ師範、荷物を部屋へ移動してくださった中川支部長・目黒君、有難うございました。

病院へポール支部長が迎えに来てくれて、そのまま打ち上げパーティー会場へ。
会場はカラオケボックスのようですが、日本のように酒食は出さず、全て客の持ち込みという方式。
すぐにビール空き瓶の山が出来て、近くの酒屋へ行き、ケースごと買って補充。
普段はクールなコノネンコ師範も今回は大いに空道宴会精神を発揮され(押忍失礼しました!)、大いに盛り上がりました。ありがとうございました。押忍。
しかし、外国なのに深夜徘徊していても、悪い人達が寄ってこないのにはキャンベラの治安の良さを感じました。

4月20日

朝食の後、コンバットセンター(武道場の事です)に全員道着で集合し、昇級昇段の認定状の授与や写真撮影を行いました。
昨夜の大道塾式パーティーのお陰で、オーストラリア人の仲間達とは、言葉も通じないのにかなり打ち解けました。でも、やっぱり英語はしっかり勉強しておくべきだったと後悔しました。次の機会までは是非とも・・・(努力したいです押忍)。

午後はAIS理事のディビッドさんのご案内で、キャンベラ市内観光。
山から市街を見下ろした景観は素晴らしかったです。
カンガルーにもコアラにも会えませんでしたが、AIS周辺にもユーカリの森林や、「オギャーッ!」と叫ぶ白黒の怪鳥等、異国情緒たっぷりで私は大満足でした。

キャプテン・クック記念噴水

正式名:カササギフエガラス

午後、大好きになったキャンベラを後にして、国内線でシドニーへ。
「シドニーでは観光させてやるぞ!」と塾長はおっしゃっていましたが、到着後もPR用の演武の撮影(皆様お疲れ様でした)等色々予定があり、夕食後、「よし!シドニーに来たんだから、オペラハウスは観なきゃな!」と出発したのが、既に深夜近く。
それでも、しっかり観光も出来ました。お心遣い有難うございました。
いろいろ貴重なシドニー情報を教えてくれたオーストラリア在住の黒帯、マサさんもありがとう!

4月21日

朝4:30に集合、ホテル出発。
またもや爆睡の9時間で、あっという間に成田着。
キーナンの怪我はありましたが、それ以外は順調・無事に初めての遠征を終える事が出来ました。
今回は海外の空道を観る貴重な体験となりました。
お声をかけて頂きました塾長、奥様有難うございました。
そしてコノネンコ師範、中川支部長、目黒君、有難うございました。
キーナンお大事に、又頑張ろう。
ポール支部長、ディビッドさん、お世話になった空道オーストラリアの皆さん、有難うございました。
押忍!

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2014.4.30更新

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