ドイツ・イタリアセミナー同行記東恵子(総本部事務局)

今回の遠征は当初、ロシアでの「第二回欧州大会」のあと、昨年まで本部にいたドイツの元塾生の所に立ち寄り支部設立の展望などを話して、イタリアで設立セミナーという予定でした。

所が、「折角塾長が来られるなら旧知の伝統派の仲間を集めるので是非セミナーを!」となり、急遽決まった為、書類上の準備が何もなくセミナーをする事になったので、現場での応援が必要だとなり借り出されました。かといって塾長と私の二人がそんな長い期間総本部を留守にする訳にも行かないので、私は中盤のドイツから参加ということで、2月19日に、ドイツのハノーバーという所へ向け単身で出発しました。

そのため、塾長はモスクワで「第2回空道ヨーロッパ大会」を終えたあと審判団と分かれて、18日に平塚評議委員長と19日にドイツ入りしセミナー会場で合流、ということになりました。
今回はドイツのセミナー後、前述の通り、イタリアのセミナーもあり、そちらへは山田支部長(新潟支部)と友次支部長(八王子支部)のお二人が別便で入国。更にはロンドンでの学業を終えた娘に「折角だから帰りしなに通訳みたいに手伝ってみたら?」と呼び寄せたため、四者四様(?) の合流です!!
海外遠征の多さから最近大道塾私設トラベルエイジェントとなった観のある私ですが(笑)、今回この4件の、それぞれ違うルートで飛んで、ある時点で合流し、また別れ、しかも格安の航空券を探すという、滅茶苦茶な依頼主(?)の注文に大変苦労しました。その上、モスクワ行きはVISAが必要なので大変でした。( 三つ子の魂とやらで、嫌いな仕事ではありませんが・・・)
19日にスイスのチュウリッヒ空港で乗り継ぎ、無事ドイツのハノーバーに到着し、直接セミナー会場へ。短い募集期間で約40人集まり、その中には「第一回空道世界大会」にドイツ代表で出た方がいて、セミナー後、ベルリンで「空道」を広げられたらという話にも発展しました。来年の第三回空道世界大会に向け楽しみです。

なお、フランスからは土田さん(フランス支部支部長)が応援に駆けつけてくれ、次の日は「まだ行った事がない」というので、ベルリンまで同行して頂きました。

海外セミナーではどこに行ってもそうですが、観光旅行で行っている訳でないので特に観光する時間はとってないのですが、塾のモットーである「大道無門」精神でしょうか、「せっかく海外に出たのだから、その国々を“実際に歩き回る”ことで、その国の人々と直接交流を持ち、また様々な名所旧跡を尋ね歴史に触れ悠久の流れを感じることが、武道・格闘技だけではない、大きな空道の普及に繋がるんだ」という塾長の方針で、忙しい時間をぬって有名なポイントは必ず何ヶ所か訪ねるようにしています。実際2,3時間の強行軍はしょっちゅうで、同行する方々はかなり悲鳴をあげることも多いようですが・・・(笑)

ハノーバーでは、タイタニック号の事故の様子を伝える翌日の新聞が飾ってあるおしゃれなレストランが印象的でした。ベルリンではベルリンの壁が一部残っているというので、そこを訪れました。

21日にはイタリアのローマセミナーのためドイツをあとにしました。ドイツからイタリアに入るにはスイスのアルプス上空を通過するのですが、それは素晴らしくて見事でした。ただ、山々を上から見てもあのアルプスでさえ、雪が少なかったです。やはり地球温暖化の為なのでしょうか・・・。
スイスのチュウリッヒ経由の為、合計約三時間でローマ空港に到着。今回、イタリアローマ支部長として名乗りを上げたリッチさんとルイージさんが出迎えに来てくれました。
ホテルまでの道々思いましたが、ローマは古代の歴史の町のためでしょう、昔のままの状態の所が多く道路は狭いし、舗装もあまり良くなくこれは仕方のないところでしょう。それにしても道路が狭いためかあちこちで交通渋滞になり移動するのに結構大変でした。地下鉄も多分土地をいじれないためなのでしょう、赤のラインと青のラインの2本だけが地図に載ってます。

22日は23、24日のセミナーと審査の為のミーティングがありました。なにせ、100人くらいの人が集まるということなので、このミーティングをきちんとしないと大変な混乱をきたします。
どこでもセミナーをする場合は、事前にセミナーや審査を受けるメンバーの名前を記入する用紙を前もって渡してあるので、当日は私が「名前と本人を照合すれば良いだけ」のはずが、とんでもない!
皆さん事務的なことはあまり好きではなさそうで、中々そのようには行かないのが常で、いつも当日はとても大変で、あたふたします。今回は100人ものメンバーと聞いてそれを想像するだけで、私はしだいに目が三角になりつつ少しパニック状態。
しかし、リッチ支部長とルイージさん素晴らしい!!記入フォームに完璧記入してくれました。このような事ははじめてです。これで時間も無駄なくセミナー・審査もスムースにすすめられそうなので、少し肩の荷がおり、ほっとしました。

ミーティングも無事終了し、その後は山田支部長と友次支部長を空港に出迎えに行きました。(これは私の心配の一つでもありました)支部長・選手の方達はセミナー、試合等で海外に行く時には必ず塾長や私が一緒ですが、今回はそれぞれにあちらこちらで合流という事でしたので、山田支部長と友次支部長は始めてお二人だけでローマまで来ることになり、又、ローマ直行便でなくミラノ経由なので、その分更に心配でした。山田支部長が「何か、“はじめてのおつかい”のようですねー」と仰っていました。
お迎えに行ったのですが、預け荷物(これまた当然、注文のあったマスクや道着等を運んで頂きました)がなかなか出て来なかったというので、案の定、顔を合わせるまでかなり時間がかかりハラハラして待っていました。本当にご苦労様でした。

そのまま、塾長達が待つレストラン(マーロンブランドのデビュー作「波止場」という映画(白黒)の舞台となった※1)で歓迎夕食会をリッチ支部長にして頂きました。(映画好きの塾長はこれだけでかなりハイテンション!)

※1 とリッチ支部長は言いましたが、凝り性の塾長が調べたところ、 撮影場所はアメリカニュージャージー州のホーボーケンで、ネットで調べると、「ホーボーケンはニュージャージー州の地域鉄道の主要なターミナルで、地理的に見ると、ハドソン川をはさんでマンハッタンの対岸に位置する」となっていました。「恐らく彼の勘違いか、一部をここで撮ったのかもしれない」と少しガッカリした塾長。

24日は夕方からのセミナーでしたので、「前に見ているから、仕事もしたいし3日も汗を流してないので近くのジムに行く」と言う塾長を残し、みんなで、午前中はローマの観光ポイントである、スペイン広場とトレビの泉を訪ねました。後者は「ローマの休日」に出てくる場所なのでやはり観光客で一杯でした。

さて、午後2時、いよいよセミナー会場へ出発です。会場に着くと約80名の方達が集まっていました。皆「ボンジョルノ!」「ボンジョルノ!」と声をかけてくれてとても明るい良い雰囲気でした。
通訳会場は試合場が悠々三面も取れるくらいの場所で、いろいろなダンスの大会等も行われるというのでかなり広かったです。着いたらすでに畳マットがひかれてあり、準備万端でした。黒帯メンバーは塾長が指導し、色帯メンバーは山田支部長と友次支部長が指導され、娘が折々初心者通訳(?)で参加させて頂きました。

今回のセミナーには地元ローマだけではなく、スペイン支部(元横井支部長)からはデイビッドさん、イギリス(ロンドン)からはロンドンで「空道」を広めたいと希望している元プロのリーさん、イタリアのナポリ在住でスリランカ出身のアルウィスが参加しました。セミナーは3時から始め2時間の積りが、結局3時間以上になり、7時からのウエルカム夕食会の少し前まで行い、みんな結構大変そうでした。
24日は同じメンバーで午前中10時から1時過ぎまで昨日のおさらいと、みんなが待ちに待った試合技術の指導です。パンチ、蹴り、投げ、閉め、関節のそれぞれの先手攻撃に対し、同じくそれぞれの反撃技。伝統派が多い参加者は「これこそ私たちが求めていたものだと」目を輝かせ耳をそばだてて、取り組んでいます。たちまち3時間が過ぎました。
短く15分ほどの休憩の後、ここで初めての審査会が行われました(※2)。皆さんやる気のある方達で大変熱の入った審査会でした。

※2  通常級、段の認定は、伝統派経験者の場合は現在から3ランク下から、フルコンの場合は2ランク下からのスタートとなります。「空道はしたいが、それは嫌だ」と諦める人は少なくありませんが、技術体系が大きく異なる(特に顔面への実際の突き蹴りがある)空道に取り組む際、無理に同じ帯にして技の交換をしたなら大変なことになります。しかし一旦、段級の認定をされたなら、それまでの体力的な土台はある訳ですから、空道独自の技に適応すれば、次へのステップは通常より早く進むようです。

3時頃終了しましたので、その後、大急ぎで着替えをし、武道をするものとしてはどうしても訪ねなければならない場所、古代ローマの円形闘技場「コロッセオ」に昼食も取らず地下鉄で向かいました。(無作法でしたが、途中、屋台のサンドイッチを食べながら歩きました)残念ながら冬季なので見学時間が早く終了し外側だけしか見学できませんでしたが、その前でみんなで写真を撮りました。
その夜は帰国前なのでさよなら夕食会をしたのですが、リッチ支部長以下先生クラスの方達5人を私達がご招待して夕食会をするように考えていた所、今回モスクワでの大会からずーと全行程を同行して下さった平塚評議委員長のご好意で大変ご馳走になりました。みんな感激しておりました。
25日は三組皆それぞれ違う飛行機で帰国の途に着きました。
「ARRIVEDERCI ROMA=アリヴェデルチ ローマ=さよなら ローマ!!!」 (ちなみにこれは私の好きな歌の一つです)

最後になりましたが、全行程を同行して下さいました平塚評議委員長始め、ドイツのセミナーにはフランスから応援に来て下さった土田支部長や、はじめてのお使い状態にさせた山田支部長、友次支部長、全行程通訳と私の事務的な事の助手をしてくれた由美子、本当にご苦労様でした。そしてお疲れ様でした。
追記:どんどん海外支部が増えて来ます。海外セミナー、試合等での遠征は本当にエネルギーが要りますし、体力がないとかなりきついかもしれませんが、これまで空道の発展にご尽力されたベテランの支部長の皆様、ご一緒し、その発展をともに喜びたいと思います。又、若手の支部長の方々も、見聞を広げ今後のご指導に生かす為にも、ぜひお時間が取れますならば、いかがでしょうか。

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