ブラジル遠征
ブラジル遠征レポート飛永耕治(帯広支部)

9月12日から9月19日まで南米はブラジルへの遠征に仙台南支部長、佐藤繁樹支部長(後輩なので以後、繁樹)と北海道本部正指導員の田中俊輔選手(弟子なので以後、俊輔)達と共に同行させて頂きました。
日程的には一週間となりますが、ブラジルでの滞在期間が3日(3泊・・・移動に4日?)という事からも日本から最も遠い地球の裏側に来たのだなと実感です。
    成田から搭乗するアメリカンエアラインは日本人にはむいていて、新作(劇場公開中を含み)の映画を目の前のモニターで鑑賞する事が出来、成田からダラスまでの17時間を「結構楽しめるな」と思っていましたが、電源ON・・・あれ?俺のだけ映らない・・・何をどうやっても映らない・・・いつもは大きな事件に結構な確率で巻き込まれるけど、今回は地味に・・・そう来たか。

来月も海外遠征に行かれる
塾長と事務局長、想像以上
に大変です。

映画を楽しむ憎い二人

機内食は常に完食!

人生初の海外がコロンビアで、前回の遠征がチリでしたので、皆さんからは南米は遠くて大変ですね、といつも気遣いをもらいますが、あるいみ頭を切り替えれば、普段は多忙な毎日を送っている中で(本当です)飛行機の中は本当に自由な時間で、本は読み放題だし、お腹すいた頃に食事が出てくるし、寝放題と最高の贅沢だなと心から感じる様になっていて、尻が痛かったり脚がしびれたり大変な点も有りますが、それを差し引いても沢山のお釣りが来る位に充実感を得る事が出来る様になりました。・・・歳を取っただけかも・・・

ダラス空港内

俊輔、アメリカ初上陸

成田空港からの移動17時間を経て経由地ダラス空港へ到着、遠征はまだ始まったばかり

ダラスからサンパウロ(ガリョーリョス)に向け二つ目の経由地目指し飛行、既に成田を出てからこの時点ですでに30時間位経っているのか?時間感覚が・・・殆ど訳の解らない状態になっていました。

日本国内とは違い税関を抜けるのが一番の難所、緊張感が結構高いです。俊輔が機内食で出たハンバーガーをカバンの中に入れていただけなのですけどね・・・犬が近づいて来て「この犬可愛い」とか言ってほのぼのしていたら麻薬犬でした・・・その後、俊輔連行されていきました・・・

ブラジル本土となる第2の経由地サンパウロ(ガリョーリョス)にてセミナーと南米選手権へ出場をする地元の選手達、複数名と偶然出会い、空道の世界への広がりをここでも強く感じる事が出来ました。
こちらも地球の裏側の、セミナー会場でもないこんな場所で空道関係の人間と会うとは思ってもいなかったので驚きましたが、更に驚いていたのはこちらと会った相手側の様です。
空道創始者の「東孝」が目の前にいる訳ですから当然と言えば当然で、ガリョーリョス空港は直ぐに撮影会の会場となりました。

目的地、ポルトアレグレの街に到着。カラッとした晴天で、太陽が眩しいです。

何処の国に行っても街や建物の中が雑然としていて(それはそれで海外に来た事を実感できるので大変良い)最近では海外遠征に来る度、懐かしさを感じる様になりました・・・と同時に日本の良さを改めて感じる瞬間でもある訳です。
ホテル到着後は早速ホテル周辺をうろついてみました。
多少疲れもありましたが、無理して外出して良かったです。ブラジル滞在中のスケジュール変更によりこれが最初で最後の外出時間となるとは思ってもいなかったので・・・。

街の散策、繁樹と俊輔

俊輔に撮ってもらった一枚、今年の年賀状に決まりだな!

その後ブラジル支部、支部長のトーレスの案内でポルトアレグレの街の中に有る常設の道場を2か所見学に行きましたが(ポルトアレグレの街で3か所の道場があるそうです)、施設の大きさに驚きました。
1階が会員制のウエイトジム、2階も同様で3階に道場とUFC用金網、オクタゴンが設置されています。
武道を含めた格闘技関係が盛んであることがよく解ります。
余談ですが、繁樹から聞いた話だと、夜中に総合の試合はもちろん「先生ちゃんねる?」と言うのがやっていたらしく(ポルトガル語なのでよく解りませんが、先生は日本語だそうです)今日の先生みたいな感じで道場を紹介する番組だそうです・・・そ、その番組が成立する事が凄い。

ポルトアレグレの街に有る空道の常設道場、規模の大きさに絶句

ブラジルもそうですが、海外選手の体格には圧倒されます。
身長190センチ以上で100キロを超えているなと言う人間が結構な確率で目に付き、本当に日本が置かれている立場に危機感を感じています。
ロシアだけが強敵ではないと言う事を指導者側が常に感じていなければいけないと思います。

ブラジル支部塾生に対し講話する塾長

オクタゴン中側から撮影

道場見学後は、我々の為に歓迎パーティーを開いてもらえるとの事で場所をレストランに移します。
ブラジルでは魚は値段が高く、肉が安く手に入る事からディナーはほぼ主食が「肉」となり、野菜は殆ど食べない様です。
朝食はホテルのバイキング、こちらには果物はありましたが、野菜はありませんでした。
一瞬、「野菜食べなくても生きていけるのかよ?」とも考えましたが、穀物メインで育ってきた日本人が肉で育ってきた外人の真似をして、いきなり肉だけを摂取しても身体を壊すだけかもしれません。
そんな訳で、ブラジルに来てからの滞在期間中のディナーは肉ばかりでしたが、実は遠征一週間程前に歯の治療をしていて、右側で噛むことが出来ない状態での左半分のみでの肉のみの食生活は、左顎が壊れるかと思いました(右フックのダメージに強くなったかもしれない・・・)。

次々に食事が運ばれて来る

がっつく、繁樹

塾長と左はチリ支部長のラファエル

ブラジルに到着して初日のはずですが、日本を発ってから既に2日以上過ぎていて・・・その感覚が全く無いと言うか時間の感覚がわかりません。
俊輔とも話していたのですが、ブラジル到着後がナチュラルハイになっていると言うか(徹夜明け?)調子が良い様な気もしたのですが、次の日、滞在2日目で身体のリズムが少し変な事、時差ぼけに気が付きました。
「先生ちゃんねる」でも見ながら今日は休む事にしよう・・・

9月15日の午前にセミナーと審査午後は試合というスケジュールでしたが、変更により15日はセミナーと審査のみとなりました。
国立大学の体育施設を借りての(今後は空道の稽古場所にもなる予定だそうです)セミナーと審査です。
設備の充実には目を見張るものがあります。

 

身体能力が高いですね・・・暇を見つけて遊ぶ俊輔!!

体操マットからトランポリン、柔道場と全て揃っています。畳も国際規定に沿った物を使用しています

何処の国でも言える事は技術的には全体的に荒削りだと思いますが、言いかえれば伸びしろが有り余っていると言う事だと思います。
体力に裏付けされた潜在能力は見ていて脅威です。一つ一つの説明にも目を輝かせて全身全霊で稽古に取り組み吸収しようとする姿は、見ている者を納得させるのには十分です。
また士気も高く、今後は「北にロシア、南に南米諸国(・・・文字で書くと当たり前の文書になるなぁ・・・)」と言われる位、空道大国になっていくかもしれません。

セミナーと審査が終われば恒例の撮影会です。参加した選手達が引っ切り無しで記念撮影に来ます。

技術的に柔術の本場、ブラジルだけあり、寝技のレベルは非常に高く、空道ルールへの順応も高い事を考えると寝技の方面からも伸びて来る要素が詰まっていると感じました。
日本とロシアの組み手のタイプが異なる様に、今後はブラジルカラーが前面に出た「空道」が誕生してくる様にも思えます。

セミナー終了後はトーレスお勧めのハンバーガーをご馳走になりました・・・チリでもそうでしたが、どんな高級な料理よりB級グルメの方が合うのが少し悲しい・・・

パンを開いて中身を見せた図、味は相当いけます

この日のディナーに出たブラジルの御当地赤ワイン、
名前が「ヨッタッペ」です。
「酔ったっぺ」に聞こえました・・・

この日のディナーもレストランで肉づくしでした。明日の試合を控え俊輔が食事を控えている横で、自分と繁樹で容赦なくガツガツいただかせてもらいました。 またまた余談ですがこの日に連れていってもらったレストランの床(煉瓦)がやけに斜めになっていたので、何故?斜めなのか?と、言うどうでもいい事を本気で議論。「掃除する時にバケツで水洗いが一気に出来るぞぉ」とか本当にどうでもいい内容の回答が出たのでオーナーに尋ねてみたところ、隣にデパートが建ってその重みで傾いたらしい・・・オーナーが最後に、国民性なのか個人的に凄いポジティブなのか「いんやぁ〜木造でよかったぁ〜でなかったら倒壊してたぁあ(多分こんな感じで言っていたのかもしれない・・・ポルトガル語なので知らないが)」。

日本で修行し黒帯を取得した「ジャン」、サンパウロの支部長です。
彼にはブラジル出国時等いろんな所で大変お世話になりました。

ディナー中も「空道」について真剣に議論

この日のディナー会場となったレストランは、収容人数はおそらく500人以上入るのではないかと思える位大変広く会場中央にはステージが有り、ショータイム時にブラジル古来の伝統的な踊り等が披露されています。
トイレで席をはずし、戻って来るとやけに場内が騒がしい
「あれ?南米選手権は明日のはずでは?」

塾長が二人を投げ飛ばした・・・訳ではありません。

さっきまでブラジルの古典的な踊りがステージの上で行われていたはずですが・・・いつのまにか塾長が主審で繁樹と俊輔が対峙している?「始め」の号令と同時にスパーリング(デモンストレーション)が始まる・・・しかも生バンド付きで、演奏と二人の動きがマッチしていて(少し・・・コミカル?)かなりうけている。

場内大盛り上がりです。個人的な想いですが、本当に先生のカリスマ性と言うか人を引き付ける魅力と言えばいいのか、いつも凄いなと感じていて、いつかそうなってみたいとか野望は持っていますが、正直難しくも感じています。トータル的には足元にも及びませんが、何か一つでも先生を超えるものを持ってみたいと最近特に考える様になりました。やりたい放題と見る人もいるかもしれませんが・・・(スイマセン)、そのやりたい放題のさじ加減って非常に難しく誰にでも出来る事ではない様な気がします。

9月16最終日、南米選手権当日。

俊輔、かなりリラックスしている様で時差ボケもさほど感じさせません。
大会出場国も六カ国、約80人と大きな規模で、出場選手のレベルも上位に入って来る選手の中には確かな技術を持った選手が見る事が出来ます。特にグラウンド技術については高い選手が本当に多いと感じました。
−250で優勝したブラジルのルイスは非常に高い身体能力からの打撃と寝技を持っていてこのクラスでは他の選手と比較して、頭一個抜き出ていました。今後間違いなく日本やロシアの選手を脅かす存在となるでしょう。
俊輔、決勝まで危なげなく順調な闘いを展開。遠い距離からの攻撃と懐に入ってからの首相撲を巧みに使い、北斗旗王者、日本の実力を見せるには十分だったと思います。
決勝はチリのムエタイ王者との対戦、南米選手権に向け「タイ」で修行をつんでの出場らしく、俊輔の反対側のレーンで決勝までの試合でも膝蹴りでの一本勝ちを含め危なげなく上がって来た選手でしたが、道着の扱い等も含め俊輔の方が上回っていた様に思えます。時間の経過と共に首相撲の中に足払い等を組み入れて試合をコントロールし効果ポイントを獲得、お互いムエタイベースなので、試合全体の流れも打撃と首相撲で綺麗に構成され見ている側からも大変綺麗な試合内容だったのではないかと思いました。

南米チャンピオン田中 俊輔 どや顔です!
優勝出来て本当に良かった・・・
負けていたら日本から来た面白い奴・・・で記憶に残るとこだった

日本に無いデザインが新鮮に感じました

今回、10:00amから18:00pmまでの約8時間と言う長時間を自分と繁樹の二人で試合を捌かせてもらい、日本では出来ない経験を沢山積む事が出来ました。
繁樹の主審采配を見ながら動作や判断等、参考にすべき点も沢山有り、自身学習に徹しながらの審判勉強と位置付けました。考えられない位、長時間でしたが、あっと言う間に過ぎたというのが正直な感想です。

試合終了後の打ち上げパーティーでの俊輔のはじけ具合が、試合までの自粛(食事制限)を物語っていたかなって感じです。他の選手達も皆そうでした、「今日は飲むぞ」的な雰囲気が既に出来あがっていて・・・「そりゃー飲まない訳にはいかないでしょう」

この後、某選手の無謀な盛り上げで、塾長を交えた大一気飲み大会へと発展、収集がつきません!

自分達がさんざん野菜が無い野菜が無いと騒いでいたせいか、ブラジル支部の支部長や選手の奥さんや彼女達が会場の隅でキャベツのみじん切りやレタスを山盛り刻んでくれています。気遣いが行きとどいていて、なかなか海外では見る事の出来ない光景ではないかと感激しました。何処の国でも男達は女性の内助の功に支えられているな・・・と、自分も改めて感謝する事としました。

地元選手の子供達、選手の家族も混ざり、どことなくアットホームな雰囲気がありました

ディナー時に飲んでいたビールです
お腹が張らないので肉料理にあい、何本でもいけてしまう感じ、
ブラジルで飲む飲み物が出る物全てキンキンに冷えてる

塾長と事務局長が先にホテルに先に戻られる事となり見送りにほんの10分程打ち上げ会場から離れただけだったのですが、戻ると繁樹と俊輔の様子が変、さっきまでビールの一気飲み大会だったのがテキーラになってる・・・なんか連れて帰るの大変そうなのでこのまま置いて帰ろうかとも思いつつ、皆さんの協力の元、ホテルまで運ぶ事が出来て一安心。

次の日・・・完全にやられた俊輔

あぁぁ・・・こ、この席は・・・
この場合俊輔は病人?なのでOK

帰路、移動中もやられ続ける二人

ブラジルでの滞在期間は3日ということもあって、時間はあっと言う間に過ぎた様に感じます。
毎回の海外遠征で、確実に空道の世界への広がりを実感すると共に、日本の各支部長に課せられた責任と言うのは重く重要で、やりがいが有るものだと感じ「日本で強い選手を必ず育成する」といった使命感にも似た感覚に、身震いする様な熱い思いがこみ上げています。

地元で扱われた新聞記事、出発前

凱旋帰国後の記事です。

今回の遠征でもいろんな事が勉強となり、すばらしく有意義な時間を過ごす事が出来ました。
この様なチャンスを頂き、東先生、奥さん、本当にありがとうございました。
ビザの取得等、手続きに奔走して頂いた本部事務局の皆さんありがとうございました。
繁樹の審判捌きは本当参考になり、日本に戻ってからもう一度勉強しなおします。
俊輔とはこれからも北海道の空道普及の為、力を合わせて頑張っていきたいと思います。
空道発展の為、帯広支部の為、と言う事で長期の休みを快く承諾して頂いた少年部の皆とご父兄の皆さん、また留守中道場を預かってくれた一般道場生諸君、本当にありがとうございました。

飛永耕治(帯広支部)

まだ続きます・・・

本当に余談です・・・スケジュール変更により自由時間が全くなくなったので、ブラジルのサンパウロ空港のお土産売り場の様な場所で購入した少年部へのお土産に選んだチョコレートキャンディーです。結構時間をかけ子供達の笑顔を想像しながら吟味し、これが良いなと選びました。

少年部の生徒達から好評でした・・・

うわぁぁ・・・やってしまった、逆輸入かよ・・・

更新日2012.10.11一部修正10.18

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