コロンビア遠征
コロンビア遠征レポート笹沢一有(関西本部)

押忍、関西本部の笹沢です。 この度、ワールドゲームズ(以下、WG)のプレイベントとして行われた公開デモンストレーションに参加する為、コロンビア遠征に同行させて頂きました。 当初は稲垣先輩と堀越選手の2名での演武の予定でしたが、急なアクシデントにより自分が代打として採用されたものです。
前年のキプロス遠征から連続しての遠征参加となり甚だ恐縮ですが、以下に顛末を報告させて頂きます。

12月26日

先生ご一行から1日遅れて、午前11時に成田を出発しました。経由地シカゴまででも11時間の空の旅となります。空港で4冊仕入れた本が、丁度良い暇つぶしになりました。シカゴに同日午前7:30着、そして9:00発のマイアミ行きへ乗り換えの、はずでしたが・・・。延着と入国審査の混雑の影響で、予定の飛行機に乗り換えることができませんでした。航空会社に再手配してもらいましたが、予定日にコロンビアに到着するのは不可能とのこと。1時間以上交渉しながら調整してもらい、シカゴ⇒ニューオーリンズ⇒マイアミ⇒ボゴダ(コロンビア)⇒カリ(目的地)というルートに落ち着きました。丸一日、痛恨のロスです!

兎にも角にも南に向かうしかないので、この日のうちにマイアミに到達。 しかしコロンビアまでの飛行機は翌日の1便しかないということで、マイアミで一泊することにしました。ホテルは当然無く、異国の旅行者に混ざって空港の床で寝ました。
(正直、往路の一人旅が今回の遠征で一番しんどかったです笑。英語が上達しました。)

12月27日

空港内で緊急火災警報が鳴り響き、午前2時にたたき起こされました。起こる時は、いろんなことが重なって起こりますね。
コロンビアへは、同国の航空会社アビアンカ航空で向かいはじめました。空港のゲート内に入ると、うっすら美人が多いような気がしてきましたが、それもその筈。コロンビアは美人が多い国で有名なのだそうです。2便飛行機を乗り継いで、ようやく目的地のカリに辿り着きました。ここまで飛行機に乗ること5便、家からの所要時間50時間!地球の裏側までの旅、やはり伊達ではないですね。
裏側ということで、季節は完全に夏でした。しかも、空港の階段を降りると、サルサを踊って盛り上がっていたりします。ラテンの国に来たなぁと。感慨深いものがありました。

間も無く先生方と合流して、夕食を頂きました。遠征メンバー以外はカイセド支部長とその奥さん、弟子で通訳のヨシオ(日系2世?18歳)、チリのラファエル支部長がいらっしゃり、ご挨拶。同国の夕食はとにかく肉です。そしてたまにジャガイモとバナナ。肉好きには堪らない国だと思います。

12月28日

朝5時に起床し、カリ市職員に連れられテレビ局へ。コロンビアの朝の名物番組に稲垣先輩、堀越と出演しました。稲垣先輩が武道についてのインタビューを受け、堀越と自分がスタジオで軽目にスパーリングをしました。通訳のヨシオ曰く、テレビ局の人たちはもっとマイルドなスポーツと想像していたらしく、過激さにみな驚愕していたそうです。

その後は午前に忍耐道場でセミナーでしたが先生と稲垣先輩は別の公務があった為、自分と堀越にセミナーを任せていただきました。基本稽古は細部で違いがありましたが、真面目に日々取り組んでいる様子が伺えました。
基本稽古と掴み打撃、受身、寝技について、ポイントを絞って指導させていただきました。
みんな本当に熱心です。特に、技の名前や数字のカウント「斜め45度」などの号令は日本語を使っていることに驚きました。

昼はカイセド支部長と現地のスーパーマーケットで一緒にランチをしました。鳥の丸焼きを手でむしって食べる。あとはポテト。人生で最もワイルドなランチでした。

午後からは噂のデモンストレーション会場へ。先生や堀越から「芝生の上でスパーリング」「観客20人いない」などなど聞かされていましたが。実際行ってみると、市民公園の芝生の上に特設のちいさな舞台が忽然と佇んでいるといったものでした。忍耐道場の塾生がミット打ちや約束組手などの演舞をした後、堀越とスパーリングを行いました。
他の競技(カンフーや自転車)も同じ場所でデモンストレーションをしていたらしく、その選手や公園をぶらついていた一般の方が観客で、20人程度でした。たしかにイメージしていたデモンストレーションとは少し違いましたが、青空の下、大人数で稽古できて少し気持ちがよかったです(笑)

12月29日

久しぶりにゆっくり寝られた気がします。
10時ごろから例の公園でデモンストレーションがあり、先生と稲垣先輩は行かずに自分と堀越の2名で行いました。
そんな日に限ってテレビの取材が待ち構えており、ぶっつけ本番で自分が喋りました。イイ事言いたかったのですが、英語で言うのは難しいですね。日本語⇔スペイン語を訳せる人がいなかったもので・・・。無難なこと言ってしまいました。スペイン語⇔英語に通訳してくれたカイセド支部長が、アドリブでイイ事付け足してくれていることを切に願います。
これが最後のデモンストレーションでしたが、テレビ取材もあり、観衆も最も集まっていた気がします。地元の方々にはどのように映ったでしょうか。
(余談ですが、スパーリングでどうも息が切れると思っていたのですが、調べたらカリ市は平地でも海抜1,000m以上あるとのことでした。よきトレーニングになりました。)

午後は審査会を行いました。
昇級については全員問題なかったように思います。
昇段審査は7名が受験し、6名が見事昇段しました。
保留となった1名も賞賛に値する内容だったように思います。クリスマス後1週間、カリ市内は大規模なお祭りが連日続き、毎夜200人が喧嘩で検挙されるとのこと。この方は警察官で、前日にナイフを持った男と格闘して負傷し、それをおして受験されたとのこと。保留となっても不貞腐れることなく前向きな態度であり続けた点が特に素晴らしいと思いました。

この日の夜、先生方はWGの組織委員会との打ち合わせがあるとのことでしたので、自分と堀越は忍耐道場の道場生達と食べることにしました。誰をとっても素直ですばらしい若者たちです。最初はみな歳上かと思っていましたがだいぶ離れた後輩ばかりでした・・・。道場でサルサを踊ったり、折り紙を教えたりし、気付けば朝方まで遊んでいました。(コロンビアでは、翌日仕事があっても朝まで踊り明かすのは普通のことだそうです。)本当に素晴らしい時間でした。

12月30日

この日は昼から活動を開始し、トーナメントを行う会場の視察に訪れました。ブガ市と言って、カリ市内から車で1時間半ほどの場所です。内装も外装もボロボロなアリーナでしたが、市が責任を持ってピカピカに改装しますとのことでした。視察中にブガ市長から電話があり、『空道は確実にWGの競技としてやってもらうから心配ありません。』とのコメントがあり、一同安心しました。(その数日前に不安になるような出来事があったので・・・。)
視察だけで一日仕事でした。

12月31日

コロンビア出立の日です。
朝5時に起床し出発。ホテルの前に道場生が集まり見送ってくれました。
空港でカイセド支部長に見送られ、マイアミに向かいます。おみやげで手渡してくれたコーヒー豆はびっくりする程の芳醇な香りでした。
マイアミはコロンビアに比べると肌寒いですが、それでもアメリカ最南端だけあって暖かいです。
ホテルに着くや否や「筋トレするぞ!!」とのことで先生、稲垣先輩、堀越と4名でウエイトルームで汗を流しました。まさか大晦日にアメリカで筋トレすることになっていようとは。
(稲垣先輩、その節はトレーニング法など教えていただきありがとうございました!)
2012年最後の食事は日本食レストランへ。久しぶりの味噌汁が本当に美味く、体に染み渡る感じでした。
年越しについてはアメリカンなカウントダウンを体験してみたかったのですが、時差ボケと疲労で寝てしまいました。無念です・・・。

1月1日・2日

朝5時にホテルを出て、経由地デトロイト行きの飛行機へ。デトロイトでお土産などを調達しました。(コロンビア滞在中は意外とスケジュールがびっしりで、機会がありませんでした。)飛行機を乗り継いで、成田に着いたのは1月2日の16時ごろでした。13時間遅れの時差を巻き返すフライトだったので、移動だけであっという間に元旦と2日が過ぎ去ってしまったのでした。完全なる寝正月です。

さて、今回の遠征ですが、空道にとって多くの収穫があったように思います。
中でも、WGへの参加について一部流動的な部分が残っていたようですが、これを解決できたことが最大のポイントだったように思います。
ここでは記せない様々な障壁がありました。今後も空道の発展に際し、そのようなものは幾度となく現れると思いますが、必ずや乗り越えていけると信じていますし、塾生として自分に出来ることは全てしていきたいと思います。

また、コロンビアセミナーという観点では、日本文化と武道を理解し、一心にそれに取り組む多くの青年たちに出会うことができました。しっかり礼節をわきまえている彼らを見て、とても感心しました。大道塾的には内弟子希望者を1名発掘できたことも、明るいニュースです。(がんばれよ、ヨシオ!!!)

最後になってしまいましたが、東先生、事務局長、貴重な機会を与えて頂きありがとうございました。特に往路ではいろいろとご心配を掛けましてすいませんでした。稲垣先輩におかれては公私に亘りご指導頂きありがとうございました。普段なかなかお話する機会がないので大変勉強になりました。堀越選手については歳も同じで名古屋で共に稽古したこともあり、いろいろと打ち解けた話をさせて頂きました。同じ歳なのに始終先輩風を吹かせてしまいましたのでこの場を借りておわびします。
そして、カイセド支部長をはじめ、忍耐道場のみなさん。短い時間でしたが一緒に過ごし、同じ釜の飯を食べることができ、深い結びつきができたようで嬉しいです。コロンビアか東京で再会できることを楽しみにしています。
ありがとうございました。
押忍。

笹沢一有(関西本部)

更新日2013.1.16

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