オーストラリア遠征
オーストラリア遠征報告アレクセイ・コノネンコ

今回の遠征は、本来だったら塾長に連れていただいて一緒に行く予定でしたが、大変忙しい中セミナーの時期はいくつかの国内、海外行事と重なり、ワールドゲームズの準備最中にあたったので塾長が出席できなくなりました。しかし、オーストラリア国内の都合でセミナーの日にちは固定されたので今回塾長から特別許可を受けて代理、一人でセミナーに行かせていただきました。セミナーと審査は通常通りに週末に行われましたが、私は以前からオーストラリア支部とのやり取りに参加し、応援していたので、今回セミナーの後に残って数カ所で指導してほしいと依頼されましたので長めの休暇をとってオーストラリアに出発しました。

オーストラリアは格闘技の大国です。オーストラリアスポーツコミーションのデータ(ASC)による全国の競技人口のランキングの中で格闘技は4位を占めています。しかし、格闘技という言葉はあらゆる流派、競技、種目を意味していますので、1つのスポーツとしてまとまりがないです。その中で空道は以前からオージの目を引きつけていました。今まで2回オーストラリア支部を立ち上げる試みがあったが、当時の支部長の能力不足で2回とも失敗におわりました。

ポール・ケール支部長今回改めてオーストラリア支部を立ち上げようとしたのはポール・ケール(Paul Cale)支部長でした。ポール支部長は特殊部隊に所属している軍人であり、実戦の経験を持っています。彼は今まで様々な格闘技を経験し、いくつかの格闘技で有段者です。しかし、空道の総合性、精神、組織力に引かれて空道に専念しました。そのために数ヶ月のメールのやり取りの後、昨年の七月に総本部を訪ねて、直接に塾長と話し合って、関東合宿に参加して初段審査を受けました。そのあと支部認可手続きを終えてオーストラリア支部支部長になりました。

【参考】2012サマーキャンプ 東恵子事務局長のレポート

今回のセミナーはオーストラリア初の正式セミナーと帯審査が予定されました。セミナーに全国から40人ぐらい集まって、実際にセミナーに参加したのはシドニー、メルブールン、キャンベラ、ブリスベーンからの25名でした。皆は他の格闘技の経験者、有段者でした。オーストラリアでは総合格闘技(MMA)とブラジリアン柔術(BJJ)がとても流行っていますのでセミナー参加者のほとんどが寝技が得意でした。

セミナーの日程は初日基本稽古、移動稽古中心に、2日目は帯審査という日程でした。今回塾長の代理ということで、大道塾の基準を守るために妥協なく、特に厳しく、と指示を受けました。ポール支部長も同じような考えで強い空道生徒を育てたいので意気統合しました。ということで初日も2日目もたっぷり5時間ほとんど休まないでやりました。

セミナーと審査の様子セミナーと審査の様子
セミナーと審査の様子セミナーと審査の様子

初日に始まる前に初段審査を受けたい人に呼びかけましたが、12人ぐらい初段審査を受けたいと出てきました。そのときに「困ったな」と思いました。しかし、5時間の初日の後、2日目の審査で基本、移動、約束組み手、組技、寝技、体力チェックを終わった後に初段審査を受けたい人は3人まで減りました。その内に2人だけ合格(最終決定はビデオにて塾長が行います)しました。

合格した2人はMMAとBJJを長年やっていて、2人ともいくつかのプロのファイトをしています。2人とも審査の後に「プロの試合より大変でした」と話しました。こういったことは明確な基準の上に皆の目の前に起きていたので空道のとても高い評価を得られました。空道の帯の重さと空道の実戦さは証明されただけではなく、その高い評価が一気にオーストラリア全国に広がりました。


左から まさ(初段推薦→のち塾長承認)、ポール支部長、コノネンコ、
マイケル(初段→のち塾長承認)、ラファエル(チリ)支部長(来日途中)

全体的にオーストラリアは大きい選手が多いです。皆はそこそこの基礎打撃技術を持って、グラウンド技術は平均以上です。掴みの技、投げ技はギャップですが、このギャップを満たせば、オーストラリアの選手は近い将来表彰台に登れるようになるに違いない。

稽古の後に、塾長の教え通りに男祭りです!塾長の教えをできるだけ忠実に伝えようとしていました。

この日に夜中まで飲んでいましたが、空道精神を確かめるために次の朝6時に皆を起こして朝練しました。オージ精神は合格でした!

滞在中にブリッツ(Blitz)という格闘技雑誌から取材を受けました。この雑誌は国内で一番大きな格闘技雑誌であり、その他に13カ国で販売されています。ポール支部長の力のおかげで次の号の表紙に載って、これから一年間の間に空道関連情報を連載するようです。このキャンペーンで一気に関心を高めて会員を増やす見込みです。

遠征のもう1つの大きな成果はキャンベラにあるオーストラリアスポーツ研究所(Australian Institute of Sports - AIS)を訪問できたことです。オーストラリアでスポーツコミーション(ASC)とスポーツ研究所(AIS)は国内オリンピック委員会と連携して国内スポーツを運営しています。AISは国家スポーツ施設であり、あらゆるスポーツ施設、スポーツ科学研究施設、宿泊施設、等等を1つのキャンパスでまとめています。オリンピック選手はこの施設をオリンピック選手育成・支援、および強化合宿のために利用しています。最近オーストラリアのオリンピック成績はよくないので、政府は改善を求めています。その一部としてAISキャンパスでリーダー的なコンバットスポーツセンターを構築する予定です。現在AISはポール支部長を副理事として雇いセンターの運営を任せるための交渉を薦めています。今回ポール支部長は私を一緒に連れてくれて、AISで空道の話し、AIS施設にオリンピックスポーツと共に空道も紹介したいという話をしてきました。この話が実現することを願っています!

一週間滞在中に平日の夜に何回かシドニーで指導を行いました。どこで指導しても空道への関心はとても高く、空道をやりたい!と言う声を聞きました。

次の週末にポール支部長と一緒にブリスベーンに行きました。ブリスベーンとゴルドコストで空道に興味があるという連絡があったのでデモンストレーションと紹介体験セミナーを何カ所かで行いました。

ポール支部長は昨年の夏に塾長を訪ねたときに、自分の夢について「オーストラリアで空道を大きくし、世界の舞台に踏み込んで、次の世界大会のときに一位二位争う日本とロシアの次に三位に立ちたい」と話しました。「始めたばっかりの支部にとってちょっとハードルが高いのではないか」と思いましたが、今回オーストラリア遠征に参加して、ポール支部長の話が夢ではないと実感しました。会員登録をまとめるとき、水曜日に整理していた時点で124人の登録でしたが、週末にかけてさらに60人ぐらい増えて、整理できなくなってきました。オーストラリアの空道はこれから大きくなります。そして、大きくなるだけではなく、塾長の教えを忠実に守って、技、武道精神、組織力を高めて国際空道連盟のもう1つの支え柱になります。

アレクセイ・コノネンコ(東北本部)

更新日2013.3.5

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