第9回武術世界大会参加報告 11月11-16日

東孝

 11-13日 | 14-16日 | 画像 

14日(水)昼

(現在15日02:00)勝ったぞ!!笹沢、2回戦はイタリアの選手で一見楽勝気味に見えたのだが、中々パンチの強い選手でいいのを2,3発貰った。しかし、動じず落ち着いてパンチを合わせながら(相手は鼻を折っていたと笹沢)、組んでは大内刈りが良く決まり、自分の攻撃をして最後は相手が転倒した拍子に頭を打ったらしく起き上がってもフラフラでドクターストップとなり1ラウンドKO勝ち!!会場内では何が起きたかと、歓声が上がる。インタビューで聞かれたから「幻の秘技だ」と言ったなら本気にしていた(笑)。

明日はアフリカGabon(ガボン共和国)の選手で、上半身が発達し大振りなパンチで来るが、あれさえ貰わなければ、組んだ後のパンチはあまりないから、そこがチャンスか?ただ、左足の三里に変な蹴りを貰ったのでチョッと心配(自分が世界大会で痛めたのと反対の足だが、そんな所は真似ることはないのに・・・)。整体師の木本氏がマッサージやら氷で冷やしたりと、入念に治療してくれたので大丈夫だろう。(まさかこのHP向こう陣営が読んでいることはないだろうな。)

笹沢の腓骨が腫れ始まった!!どうも変な下段蹴りを三里(脛の外側の指圧で言う所のいわゆる、“ツボ”)に貰ったらしい。世界大会時、私は相手の膝かなんかを蹴って痛めたんだが、左右反対だが同じ所だ。参った。今日は楽勝な相手でベスト8は確定だと思っていたんだが・・・・。数時間後に聞いたなら明日の試合までは15,6時間あるから何とか試合はできそうだと言うが・・・、パンチだけで誤魔化してやらないと。
(―結果を知りたかったみなさん、こんな事情でしたので今日まで掲載しませんでした。)

(道草)それにしても散打の試合を見ていると昔 (組み技の代表?だった頃の) 「プロレスとボクシングはどっちが強いか?」と言う論争を思いだす。あとで詳しく書いて見るが、今日は4日振りでトレーニング出来たので、快調だが眠い・・・。又、全く別件だが、今中国のTVは数年前の散打王(参考記事※3)に変わって総合(格闘技)が大流行、明日その関係者が会いたいと言ってきているが・・・。

参考記事※3 2001年東孝旅日記「散打遠征始末記」

15日(木)昼

笹沢が又もやった!ついにベスト8入りだ!!3回戦の相手であるGabon(ガボン)の選手、昨日見た限りでは蹴りも大雑把だし、パンチはやたらと左右のフックを振り回すという程度で、あのフックを見切ってパンチを打ち込めばいいなと値踏みしていたのだが、逆に普通の軌跡でないパンチだから慣れるまでは苦戦したようだ。

1ラウンド始め左ジャブを出して引いた所に右フックを貰い前のめりに態勢を崩し、ポイントを奪われヒヤッとさせられた。右を出そうと体が前に回転していたからなのか、左だけの積もりだったが、パンチを出した後に方が下がった(となれば直すべき)のか、ビデオで詳しく見てみないと分からない。打ち返す笹沢のパンチも当たるのだが、何せいつも言うが日本人なら倒れるパンチでも外国人は平気で前に出てくる。そこで作戦変 更で「組んだなら刈れ!」と叫ぶと、これが面白いように決まりたちまち逆転したが、まだ感覚が本物ではない感じで、1ラウンド終盤にも良い左フックを貰った。

インターバルに戻ってきたなら鼻血を出しているのでタオルで拭きながら「どうすれば良いでしょうか」と聞くから「あの大振りなフックにストレート、特にクリーンヒットして気を良くしている左フックに、右のストレートを合わせろ。それとクリンチしたならアッパーを突き上げろ!」と言って出したなら、目も慣れてきたのだろう、面白いように右のストレートが入り、大きく仰け反った。更に接近してはアッパーでアゴを度々上げる。それにしてもあれだけ打たれたなら倒れても良さそうなものだが、まったく・・・・・。

しまいには同じくアッパーを出し始めたので、思わず「コラ!真似をするな」と怒鳴ってしまった(笑)脚の状態が心配だからと一緒にセコンドをしてくれた木本代表も横で笑い出した。ペースを掴んだからもう大丈夫だろう。とは言っても、一発逆転があるのが打撃戦。パンチだけでも勝ちは揺るがない所だが、ある程度打ったなら相手に打たせない為にも、接近して投げを1,2度決めろ!と駄目押しで圧勝!!

これで北京オリンピック出場の条件と言われていた、「ベスト8」入賞だからほぼ確実だと思うが、日本武術太極拳連盟の公式見解を待つようだ。

1年ブランクで滑り出しは試合勘が今一だったが、何発か貰ってやっと調子に乗ってきたか(笑)次の相手の試合も見たところ、笹沢のほうが地力があるので今回はベスト4も可能だったと思う。いやこのクラス、昨年戦って大殊勲を上げた、10何年間連続優勝のイラン選手(今回は階級を繰り上げた)に比べたなら、今回の昇り調子ならもっと上まで行けたと思う。取らぬ何とかの皮算用みたいになるのでやめるが(笑) 結局、昨日の腓骨がかなり悪化し、本人も大分戦意をなくしてるので棄権した。

そこで「折角、棄権するなら(変な言い方か?)チャンと医者にレントゲンを取って貰おう」と、大会ドクターを呼んだならキャスター付きの担架で来た!!笹沢は「そんなに酷くはないから良いですよ」と固辞したが「少しでも歩かなくて良いならその方が足には良いんだから乗せて貰え」と廊下を救急車の所まで行くと、通り過ぎる選手やコーチなどは皆、明日は我が身という感じで心配そうに覗いて通り過ぎるが、横になっている選手が、ピースサインを出しているものだから「何だこれは?」という顔をする・・・・。

16日(金)

今日、非公式とはいえ、木本泰司東京散手倶楽部代表が今日までご挨拶出来なかった(私は13日の緒戦後偶々会場でお会いしていた)日本武術太極拳連盟の石原理事に会場でお会いしたところ、「オメデトウ。来年に向けて頑張って下さい」と向こうから言われたそうだ!!(公式発表は3日後!!!)

◆当レポートは「北京 第9回世界武術選手権大会レポート1」として2007.11.12に掲載された内容を加筆訂正したものです

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