気まぐれに東塾長か答えるコーナー

インデックス 

投稿コメント

発信人ランニングやウエイトをやらない太気拳の40代ぐらいの人に大道塾の20代のチャンピオンクラスが敵わなかったのは何故ですか?負けた人は大道塾を辞めて太気拳に入門したそうですが。東先生はその太気拳の人と戦ったことはありますか?楽に勝てると思いますか?

RE:

塾長 返答しようとは思いながら、年末の忙しさで対応できなかったのだが、この投書に返答してみよう。
今更だが、顔面打撃、練習と現実の違いに付いて。

30年前までは顔面打撃をしようとすれば、剣道の面のような、正面が金具の防具しかなかったから、グローブを使って顔面を殴り、蹴りも認める競技で有名なのは、それ以前からの「防具付き空手」とか「日本拳法」しかなかった。私が属した道場には正面の神棚の下にグローブや防具があって、以前はグローブでやってみたと言っていた(だからその道場を辞去する時には「顔面打撃を入れると失敗するぞ」と言われたものだ)。

しかし「グローブを着けたのではキックボクシングになってしまい、空手的な多彩な技(裏拳、抜き手、手刀等)を使えないし、差別化も出来ない」(ので、存在感も弱くなる、という事もあるだろう) そこである団体は顔面殴打を止めて、顔以外なら当てて良いというルールで試合を始めた所、創始者の伝説や漫画の爆発的な人気と相俟って、その団体が始めた“疑似実戦”と言うものが一大ブームとなった。確かにそれは当時主流だった「当てないで技のスピードや形で決める、伝統派空手」よりは、体力面を重視した事でかなり現実に近づいたがのだが・・・・。そこで「我々が最強」と勘違いした若手が太気拳に挑戦して、散々な目に遭ったというのは、私が顔面打撃や投げをも含んだ空手―「格闘空手」を始めた後に聞いたことがある。

一方、太気拳はあくまでも素手での素面殴打を捨てないで、嘗底で叩いたり拳で殴ったりしていたらしいから、その結果を聞いた時には「やはりな〜。体力が優れていても顔面への防禦がないから、相手が体力がないにしても、自分と同等以上のキャリアがあるなら、当然そうだろうな」と思ったものだ。だから太気拳は顔面打撃に関してはかなりな技術を持ってると思う。しかし私は体験上、違った方法を取った。

素手で殴る(本当の喧嘩)なら自然に組みも伴うものだ(今の“総合”を見て気付いた人も多いだろう)が、ルール上あくまでも離れて打撃で倒す事を最善とするなら、怪我させるか失神させるかでしか組手は止めようがない。そうなるとまさか練習で毎回本気の殴り合いや連打をしていたなら(いつでも勝てる最強者以外は)体がいくつあってもたまらないし、大概の人間はパンチドランカーを覚悟するしかないだろう。大抵は1,2発当たれば「参りました」と言うか、適当な所で誰かが止めるという練習法になるしかない。

所が素人なら別だが実戦(喧嘩)となると、下手したなら殺される!という恐怖心から、相当な打撃力や体力の差があるとか、顎を横からかすめるとか、アッパーで顎を打ち上げない限り(素手で怪我なしにこれをやるのがまた難しい)人間は1,2発では中々倒れない。良くウチの試合を見て[あのパンチが入ったなら倒れてるのにマスクをしてるから倒れない]とか[本当の痛みを分からない]等と、一見、納得しやすい事を言う人間がいて、ウチは真面目なのが多いから(喧嘩をしたことのない人間もいるので―決して、勧めてる訳じゃない 爆)信用するかもしれないが、マスクをした状態と言うのは、その戦って「痛さを忘れてる状態」と同じで、それでも倒すパンチや蹴りがどんな場合でも倒せる打撃なのである。

これは痛さを忘れてる“薬中”とか、酔っ払って向かって来る連中を制圧する為に殴ったことのある警官や、ステゴロの喧嘩をしたことのあるヤクザものに聞いたなら、大概そういうはずだ。(昔ウチの道場生が警察官になって暫くして訪ねて来て[練習の時はそうは思わなかったですが、取り締まりなどでは本当に先生の言う通りだと思いました]と言っていたが、だからヤクザは刃物を持つし、警官は拳銃を持つ訳だ 笑)そこまで危ない話でなくてもUFCなどの「人間壊し合いの“総合”」を見てれば分かるだろう 痛!

北斗旗のチャンピオンクラスと言っても、当時顔面打撃が始まったばかりで、2,3年しかやってない選手が、当時よく言われたマスクへの疑問や、練習での組手と実戦の違いなどを知らないで、その上「俺たちは素手・素面で戦った事がないから・・・」などと自分のしている事に疑問符を持っていたり、喧嘩ではなく他の実戦を“学ぼう”と思って謙虚な姿勢で対戦すれば、顔面に慣れてるベテラン相手では当然そうなっておかしくないと思う。

余談だがウチにも色々な経験者が来て私も何度か手合わせしたことがあるが、マスコミ的に名のある選手でも道場での組手なら、私は40歳,50歳を過ぎた時(膝を壊してランニングは出来ないし、現役時代の1/3くらいしか体力がなくなって)でも、いくらでも相手を“あしらえた”ものだ。だからと言って試合でも同じことはできないだろう。試合は体力、スタミナ等々全てが揃わないと臨めないものだし、「勝つことへの全てに優先する憧れ」がまずなければならない。「負けたなら殺される」とまではいかないにしろ、それまでの苦しい練習や応援に来ている人達の前という事もあり、必死になるからだ。その前に、必ず勝とうと思うなら(一日中机に向かって仕事しながら)片手間でできるものではないし、例え1,2試合勝ってもその後のリハビリに時間を取られて仕事が後回しになる。

教えることを仕事にし常に後進とか弟子等とやってると、受けるとか後手の癖が付き、自然に闘争心が湧かなくなる。第一、現役とおなじ闘争心でいたなら誰も近寄って来ず道場は成り立たないだろう笑。尤も「殺されるかもしれない」という場面なら、そんな後先(自分の事も相手の事も)は考えてられないから、幾つになろうがやるしかないが (嫌だねー、まだこんな事を言ってる。成長しない人間だ 爆)。 (掲載日2012.1.4)


この文章についての感想をご記入ください。なお、記入いただいたコメントはこのサイト上で匿名にて公開する場合があります。

インデックス 

本サイトに掲載の記事・写真等の無断転載を禁止します。
Copyright(C) KUDO ALL JAPAN FEDERETION DAIDOJUKU. all rights reserved.

close