気まぐれに東塾長か答えるコーナー

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発信人なぜ、ロシアは強いのですか?

RE:

塾長注意:例により「です・ます」と「だ・である」混合調(どうも強く言いたい時は後者になってしまう笑)
ロシアの強さは全て日本の弱さの逆だからです泣、簡単に言うと、(1)体力的差、(2)社会的的評価の差、(3)従って財政的支援の差、(4)従って選手のモチベーションの差、(5)従って練習量の差です。詳しくは以下の通り。

(1)良く言う「肉食文化と草食文化(という言い方が良いかどうかは知りませんが炭水化物中心の食生活)の違い」である。まず、先天的な体力(主に筋力)が違う。
「日本に文武両道なし」2003エストニア遠征記

(2)これは世界に開かれて100年以上たっている柔道が今でも常に世界のトップ層を保ち続けているように、多くは練習量で克服できるのだが、日本での柔道の社会的評価から生まれる練習環境とは前提条件が違うので、(日本の)空道にそれを求めるのは難しい。逆に既にロシアの名門、「極東国立大学」では空道という授業があり(!!)、指導員の資格を持っていると4年間学費免除となる!!!という位に空道の社会的立場は強く高い。
※「大道塾ウラジオストク支部の社会体育性について

(3) 根本は軍隊の社会的な地位、評価にも関わるのでしょうが、(大きく武道も含めて)社会体制や国の文化、国民性が格闘技(もしくはそれに付随する格闘技文化)を高く評価するから身体能力の高い人材が多く集まる。世界大会後のインタビューで優勝したロシア選手が「ロシア人は喧嘩(戦い)がが好きだから空道はそれに完全にマッチする」と冗談半分本気半分で言ってましたが、確かにそういう気質もあるでしょう。更には、ペレストロイカ以降、共産主義体制から資本主義(ロシア的?)への改革途上にあるロシア社会の現状が、日本で言えばいわば終戦直後の混乱期に似て、「何をするにもまず腕っ節が強くないと生き残れない」的な風潮があるからでしょう。恐らく加盟国の中で塾生に、一般的に言って「インテリ層」とでも言える医者、弁護士、教師と言った塾生が一番多いのはロシア連盟でしょう(笑)、一方、日本では武士道が大きな位置を占めていた戦前戦中の教育への反動でしょう(ハッキリは明言されませんが)教育界にその子孫(?)である武道への忌避感があると思います。そういう教育の中で育った「インテリ層」は一般的にひ弱で何ら恥ずかしい事はなく(1)で述べたように、体力的な差もあるからですが、"強さ"は主としてスポーツや武道をする人間だけに求められる資質になってます。(尤もある内弟子出身支部長は「段々俺達の場所が狭められているなー」と笑い話にしたと言うほどで、空道をする人間の中には"獰猛なインテリ層(笑)"が結構いますが・・・)

(4)冗談はさておき、そういう日本社会の中では「圧倒的に恵まれている柔道」でさえ「社会を挙げて」となるとオリンピックの時に"旗を揚げれる確実な種目"として、一時的に応援されるだけと言っても過言ではないでしょう。「第三回世界空道選手権大会」(大会結果)で全階級制覇し凱旋した時はモスクワ空港にはテレビ局を始めとする報道人で大混雑し、車列がモスクワ市内まで続き、連日テレビ出演が続いたそうです。(日本で言えば、ワールドベースボールで優勝した野球や、ワールドカップで善戦したサッカーチームの凱旋(?)みたいなものです。

(5)日本のように声援だけでなく(笑)具体的に社会が、国民が財政的に支援する。ロシア連盟のスポンサーは何とナショナルフラッグ"アエロフロート"や5つ星ホテルで有名な"マリオットホテルチェーン"、(その他全貌は掴み切れないが)全ロシア的な大会社、国際的な企業が綺羅星のごとく並んでいる。国家的には、かつてソ連時代には「ステイトアマ」と言ってアマチュアとは名ばかりで国が財政的に支援したプロの選手層がおり、幼い時から英才教育をしてオリンピックのメダリストを量産していたが、ペレストロイカで崩壊しトップアスリートは多くヨーロッパやアメリカ流失し、メダリストが激減した時期がありました。しかしプーチン政権になってからは実質的に復活し(スポーツマスターと言うそうですが)スポーツの優秀者には賞金だけでなく"年金"が出る。4ランクあって、オリンピックのメダリストは第1なのは分かるが、何と空道のメダリストは第2ランクになっているのだ!!!

(6)ロシアの事情に詳しい人によれば、世界大会で優勝した選手の殆どが所謂、"生粋のロシア人"というより、周辺国(地域)から出場しているか、もしくは移民(二重国籍者)だそうです。(幼い頃に貧しい周辺地域からバンコックに集められ(選手ではなく)"戦士"になったタイの国技"ムエタイ"の事情と似ている)ちなみに-230クラスで2連覇し、優勝者の中で最も鮮やかな勝ち方をして選手に贈られる「最優秀賞勝利者賞(いわゆるMVP)」を貰ったコリャンエドガー選手は前回はアルメニア国籍で出ていたが、アルメニアでは優勝したからといって特別な恩恵がある訳じゃないし、ロシアではそういう支援や社会的評価が全く違うからと、今回はロシアから出ていた(※今後、国籍の確認は厳密にするにしても帰化や二重国籍を持っていれば同じ事でしょう)
これでは死に物狂いにならない訳がない。だからまさに人生を賭けて戦い、負けた選手は「人生を喪った!」とばかりに沈み込む。趣味の延長で戦い、負けて笑える日本選手とは寄って立つ基盤が違う。

(7)だからロシア選手の殆どは一日6,7時間練習して世界大会に臨んでいた。日本選手の多くは会社員や学生であり、練習時間は平均すれば一日2,3時間だろう。練習方法などもあるが、単純に言って、永遠不滅の法則「先天的な体力(能力)を持つ者に勝つには、彼らよりより多く練習(勉強)する」しかないのだが、今の日本の事情では無責任に「会社を辞めて練習しろ!」とか、学生には「良い就職口を紹介するから練習だけしてろ!」とは言えない以上、彼我の現状を急に変えるのは難しい。

(8)以上を列記すると自分でも嫌になるくらい悲観的な状況や見通ししかない。かつて「ジャパンアズ・ナンバーワン(用語解説)」(今の世代では知らないものも多いか 泣)とまで言われた「栄光の日本」(言い過ぎか笑)だが、今や政治経済文化のあらゆる分野が三流に堕し、どこかの偉いさんからは「あと20年もすれば日本なんてなくなってるよ」とまで言われるていたらくである。「このー、日本人を舐めるなよ!!」とは思いつつも昨今の日本に次々と起こる事件や事故、若者の無気力(無関心…と続く例の)や、これまで日本を支え続けてくれた高齢者の引退逝去などを見聞きするたびに、「確かにこのまま行ったならそれも有り得ない話ではないかもな・・・」と呻るしかない。全ての分野が連動して動いてるのが人間社会である以上当然なのだが、全ての分野で(情けない事に自分の担当分野笑「武道界」ですら)かつての輝きは彼方の闇に飲み込まれつつある。正に飛行機なら地上激突直前、小説的に言うならば、半分以上は「日本列島沈没」が現実となっている。

(9)しかし今やっとここに来てようやく、これまで日本を支えてきた武道文化を評価しようという動き(中学校からの「武道必修化」、小学校からにすべき)が出てきたのは、真っ暗闇に仄かな微かな光を見た思いである。かつて何度か存亡の危機に瀕した日本だが、その度に(明らかではないにしろ)潜在的な"日本文化の中の武道バネ"が支えてきたことに我々武道人も、思いを馳せ、武道の力を信じて日常の活動に取り組むしかない。

(10)そうなんだこの所ちょっと元気がないが、日本という国は結構凄い国なんだ(だった?)まず日本史そして世界史をもう一度勉強し直そう(たとえ取っ掛かりが漫画でも、「龍馬伝」でもだ!)。大した資源もないこんな極東の小さな島国(国土面積世界60位!!)でありながら、新渡戸稲造博士が「武士道」で書いたごとく、「武士道」で、もしくは「武士道的文化」で人間を育ててきたから、様々な面で世界で上位に入って来たんだ(但しその行き過ぎが理性的な判断を狂わせ敗戦という未曽有の国難に至らしめた轍は踏んではならないが、そのエッセンスである「武道精神」を再評価し、日本人としての誇りを思い出しさえすれば、このまま日本がへたり込む訳がない。※塾長コラム「チョット待った“武士道精神”」

(11)今の政権がどこまでこの辺りを理解しこの路線を推し進めてくれるか甚だ心配ではあるが(前の政権よりは良いだろう、と祈る)、何とかこの流れを止める事なく、社会全体を覚醒させる"うねり"になるまで方向性を持続させて欲しいものである。再度言うが、その行き過ぎを警戒しつつ、それこそ我々武道人も、"一兵卒"として、日本再生の前線に立つつもりで担当分野である武道の復権の為にもうひと頑張りするしかないだろう。
と思う今日この頃です(笑)。(掲載日2010.8.19)

塾長のコメントに対するRE:

発信人3納得ですね。競技として人生かけてるロシアと日本の違いですね。 (掲載日2016.3.22)

発信人3何故若手が全然育っていないんですか?(掲載日2010.8.30)


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