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青森で異種武道交流イベントが開催されました

平成24年(2012年)11月に設立された「あおもりアスリートネットワーク」の交流事業として、この度、五十嵐道場主催により元世界柔道選手権日本代表の藤田博臣氏を講師に迎え、技術セミナーが開催されました。

塾長コラム「異種武道交流イベントによせて」

異種武道交流イベント報告

報告 青森市・三沢・弘前支部長 五十嵐祐司

藤田博臣先生による 空道に役立つ投げ技・技術セミナー
前列、青い柔道着が講師の藤田博臣氏

あおもりアスリートネットワークについて

平成24年11月に、青森県にゆかりのあるオリンピアンや世界で活躍したトップアスリート、指導者等が主体となり、スポーツを通じた様々な社会貢献活動を展開する「あおもりアスリートネットワーク」が設立され、恐縮ながら小生も31名のメンバーに選抜されております(事務局:青森県庁スポーツ振興課 )。

【参考】青森県庁HP内記事「あおもりアスリートネットワーク」 http://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/sports/aomori-athlete-network2.html

しかしながら、組織の代表であった斉藤仁先生が昨年から長い闘病生活を送っておられましたので、主だった交流活動はそれほど行われていませんでした。昨年11月に臨時総会が県庁で開かれ、その席で初めて斉藤先生(代表)に御挨拶をさせていただく機会がございました。その際、今年(平成26年)は、自身(齊藤先生)のご体調のこともあって動けなかったので、来年度(平成27年)からは、ネットワーク内の交流事業を積極的に行い、組織のPR活動をなんらかの形でも示していきたいとおっしゃられておりました。そして年が明け本年1月23日のアスリートネットワーク総会を直前に控えた20日、斉藤先生(代表)はお亡くなりになりました。

柔道の技を空道に!

その後、県側からの支援と、同じメンバーである藤田博臣先生(柔道)からのお声掛けとご協力もあり、斉藤先生(代表)のご遺志を継ぐかたちで初の異種スポーツ交流イベント(技術セミナー開催の企画)がまとまり、今回は主に空道ジュニアを対象として2月14日に実施する運びとなりました。

  • 事業名 : 藤田博臣先生による 空道に役立つ投げ技・技術セミナー
  • 主 催 : (社)全日本空道連盟 五十嵐道場
  • 日 時 : 2月14日(土) 11:00〜14:00
  • 場 所 : 青森市スポーツ会館 2F柔道場
  • 後 援 : あおもりアスリートネットワーク、青森県
  • 対 象 : 県内在住の空道ユース選手および一般愛好家
  • 講 師 : 藤田博臣先生
  • 経歴 : 五所川原三中―東海大相模高―東海大―旭化成
         97年世界柔道選手権 86Kg級日本代表
         96年世界学生優勝 97年東アジア大会優勝 (いずれも86Kg級)
  • 参加費 : 無 料

当日は、約60名の参加者を迎え、地元マスコミ様にこの活動と当日の様子を大きくスポーツ欄で取り上げていただきました。

武道交流への思い

今回講師にお迎えした藤田先生と私は、取り組んできた競技は違いますが、かつて日の丸を背負って世界と戦った経験や情報などを何とか地元の子供たちに伝えて寄与していこうという考えを共にもっており、アラフォー世代同志のよしみもあり、現在では友人として親交を深めています。今後もお互いのテリトリーやスタンスを尊重しながらも未来思考で、県民に対し「アスリートネットワーク組織」のPRと社会貢献活動を進めていきたいと思っております。加えて、こうした活動の継続が地元における空道競技の社会評価(県体協加盟など)につながるものとご理解いただけましたら幸甚です。

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塾長コラム「異種武道交流イベントによせて」

(編集部注)この文章に加筆修正を加えた完全版はこちらです。

嘗て、佐藤節夫、初代大道塾理事長(現最高相談役)が(我々宮城県柔道界のヒーローだった)神永昭夫先生(※1)を失くした時にも言われたが「柔道界も本当に惜しい人物を失くした」と思う。柔道というと(本人の意思とは関係なく)どうしても山下泰裕氏(※2)が脚光を浴びがちだが、氏も「お互いにとって大きい存在だった(SANSPO.COM 1月21日記事)」と言うように、斉藤(仁)氏(※3)も、技術的にも人間的に評価の高かった人物だと聞いていた。その縁でこんな良い企画が組めたのは、有難いことだった。感謝と哀悼の意を表したい。

俺も先日、今、色々取り上げて貰ってる「スポーツゴジラ」発行元の「日本スポーツ学会」主催で講道館で開かれた「スポーツを語り合う会」に参加し、山下氏が「中国・南京やイスラエル、パレスチナ等での活動報告」 という演題で「柔道がいかに世界平和にコミットしてるか」という話や、筑波大学大学院スポーツ健康システム・マネジメント専攻長の菊幸一 氏(※4)が「嘉納治五郎の魅力を語る」という演題で、「現代スポーツは嘉納治五郎から何を学ぶのか(※5)」という本を要約し「柔道の“教育性”や“文化性”の一方、加熱する“競技性”に、どう対応するか?」という、ウチにも当てはまる命題に関しての話を聞けたんだが、やはり柔道界に学ぶことは多いな。

ま、まだウチはその前に、色々学び前進しなければならないことが山ほどあるんだが、そういう意味でも、今回のように、世界大会後、青森始め日本各地で、一般にはまだ耳慣れない「空道という武道」の選手が、一般だけでなくジュニアも含めて評価されることは本当にありがたい事だ。

本人たちの努力もさることながら、初めてそういう場に引き上げて頂いた、仙台市空道協会、平塚和彦会長(※6)を始めとする、各地での関係各位の方々のご尽力に心から、感謝申し上げます。

設立当初の「実戦性、安全性、大衆性を備えた武道」を創るのだ!と皆で、熱く燃えてはいたが、一人でいる時に湧き起こる「わぁ〜俺たちはどこに向かってるんだろう・・・」という、えも言われない不安を思い出す時、この状況は夢のようである。重ねて御礼を申し上げさせて頂きます。

今回各地で表彰された選手や支部長、指導員、同じ支部の塾生諸君は、これがただ自分たちの努力や指導、応援だけで達成できたとは思わないで、今日まで叱咤激励して頂いた多くの役員、後援者のお蔭だという事を忘れないで、しかし、まだまだ越えなければならない、山々に向かって頂きたいと思う。(初稿2015.2.23)

注(敬称略)

※1 神永昭夫(かみながあきお):宮城県仙台市出身の柔道家。日本代表として出場した1958年の世界選手権では準優勝。その後全日本選手権を、当時史上最多となる3度制覇(1960年,1961年,1964年)し、猪熊功とともに日本柔道界のトップ選手として君臨する(通称:神猪時代)。(ウィキペディア記事より引用)

※2 山下泰裕(やましたやすひろ):柔道家。1984年ロサンゼルスオリンピック無差別優勝後、国民栄誉賞を授ける。引退から逆算して203連勝(引き分け含む)、また対外国人選手には生涯無敗(116勝無敗3引き分け)という大記録をもつ。(ウィキペディア記事より)

※3 斉藤仁(さいとうひとし):青森県青森市出身の柔道家。ロサンゼルスオリンピック、ソウルオリンピック柔道男子95kg超級金メダリスト。(ウィキペディア記事より)

※4 菊幸一(きくこういち):筑波大学体育系教授。同大学院スポーツ健康システム・マネジメント専攻長。

※5 菊幸一「現代スポーツは嘉納治五郎から何を学ぶのか」(単行本情報 Amazon

※6 平塚和彦(ひらつかかずひこ):大道塾評議委員長。国際空道連盟顧問。全日本空道連盟副理事長。

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更新日 2015.2.23

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