close

東孝「情けは人の為ならず」

NPO国際空道連盟・(社)全日本空道連盟 理事長
総合徒手武道 大道塾 代表師範・塾長   東 孝

紋別の田中支部長から以下のようなメールが来ていたが、全日本大会後も色々取り込んでいて広報への送信が遅れた。今日別件で連絡があり話した所、既に石巻に入り予定通りの支援活動をしているとの事。今月末までという事なのでかなり長い日程だ。「よろしく頼む」と電話を切ったが、現地ではまだまだ過酷な現実が続いている。

Subject: 紋別支部田中です
先日の全日本大会、お疲れ様でした。東北地区からの出場そして入賞、感動的な大会になったと聞き大変嬉しく思っています。また、その場にいなかった事が残念に思います。
6/1から2回目の災害派遣に出発します。支援の内容は生活支援の中の入浴支援で場所は石巻市雄勝町大須小学校というところと聞いています。
期間は約3週間の予定です。
前回とは違う内容の支援になりますが、微力ながら役に立ちたいと思います。
機会ができましたら、また連絡をします。

良い悪いを別にして日本人は「喉元過ぎれば熱さを忘れ」とか「人の噂も75日」、「花は桜木 人は武士・・・」更には「罪を憎んで人を憎まず(悪人も死ねば仏になる)」というように、あまり過去に拘泥しないと言われる。「起きてしまった事を嘆いてもどうしようもない。それよりは前を向いて進もう!という考え方を取る。それは天変地異の多いこの国に生まれて、今回の地震だけでなく台風、大雨、大雪、洪水等など、年々歳々起こる天災の元で生き延びて行かなければならない運命の元では、いつまでも前のことだけ考えては生きて行けないからだろう。

そして、それを被災者が言えば逞しさを感じ聞く方もホッとする。しかし、周りの人間はそのまま「凄いなー逞しいなー」と感心するのではなく、「そう言って自分を奮い立たせているのだ」という事に気付いて頂きたい。そしてそれを言葉だけではない何らかの形にする事によって、被災者の人々にも「みんなから応援して貰っているから音を挙げる訳には行かない」と力付ける事に繋がる。

震災3カ月が過ぎて、少しずつあの恐怖が風化し始めるのは、上述したような日本人の性(さが)でもあり、前を見て進まなければという意味では理解せざるを得ないが、どうか、日本列島に住む言わば「“運命共同体”の一員として」という格好好い言い方でなく、狡い言い方、打算的な言い方かもしれないが、次の地震も想定されている者同士として、「情けは人の為ならず(※)」、「明日は我が身」である。引き続いての支援の気持ちと行動をお願い致します。

※「人に同情するとその人を甘やかす事になるので、その人の為にならない」ではない「他人に情けを掛ければ、回りまわって必ず自分にも情けが返ってくる」という意味である。前者の方が教育的、後者は何か打算的な響きがあるからだろう、良く前者の意味で使う人がいる。

有難い事にまだ時折、海外からも義援金等が届きます(昨日はまたもウクライナから届きました、本当に有難いことです)。ましてや同胞として皆様も忘れることなく長くご支援、ご協力の程を(自分からは言えない、言わない)被災者になり代わり、“くどい”のを承知でお願い申し上げます。

文書日付 2011.6.13

このページの先頭に戻る

感想・ご意見はこちらからお送りください

この文章についての感想・ご意見等は下記のフォームからお送りください。

お名前(※必須 )

所属支部

当ホームページへの掲載について(※必須 個人情報を除く本文部分の公開について)
  掲載してもよい 掲載しないでほしい


  ※送信が正常に完了すると自動的に「東日本大震災関連記事まとめ」へジャンプします。

大道塾三十周年記念誌

東日本大震災関連ページまとめ

このページの先頭に戻る

本サイトに掲載の記事・写真等の無断転載を禁止します。
Copyright(C) KUDO ALL JAPAN FEDERETION DAIDOJUKU. all rights reserved.

close