フランス遠征記

高松猛(総本部)

3月19日より5日間、東塾長、昨年の全日本無差別大会で七位に入賞し、青森市・弘前市・三沢市で支部長として活躍する五十嵐祐司君と共にフランスのパリに遠征をさせて頂きました。今回の遠征の主な目的は、フランスで歴史と権威のある「カラテ・ブシドー」という武道・武術雑誌の主催する「第19回武道の祭典」において空道を紹介すると事とパリでの2回目の空道セミナーを行うという二点です。

初めてのヨーロッパ。海外遠征はこれで三度目ですがロシア極東のウラジオストックや東南アジアのミャンマーなど割りと近場が多かったので12時間に及ぶ飛行機の旅はかなり疲れるだろうと予測していましたが、飛行機の中で「マトリックスレボリューション」「半落ち」なとどいった新しい映画を見る事が出来たのと、昔懐かしい「スーパーマリオ」などのテレビゲームが備え付けてあった事もあり思ったよりも早く時間が過ぎたように感じました。

夕刻に空港に到着、地元パリで積極的に支部活動を行う支部長の土田真也君が塾生のジャンメル氏と共に迎えに来てくれました。車で数十分、現在稽古を行っている道場に到着してみると、今回の演武、セミナーに助っ人として先に駈け付けてくれていた、北イタリアのアンドレア・ストパ支部長が指導を行なっていました。今日は土田君が我々の出迎えで留守にしたので代わって指導を引き受けてくれたとの事でした。ストパ氏とは日本で何度か一緒に稽古を行っており、既に顔なじみです。判りやすい稽古指導にも感心させられたのですが、もっとも感心したのは稽古終了後の道場訓を日本語で唱和して見せた事でした。その日は、フランスのアルザスという地方の料理をご馳走になりました。

2日目、いよいよ演武会当日です。7時起床、朝食をしっかりと摂り会場へ。ベルシーと呼ばれる場所(地名?)は大相撲のフランス場所なども行なわれるという、二万人収容の大きな体育館でした。道衣に着替えてリハーサル、内容はまず塾長と私で従来の空手の技の受け返しと空道のそれを比較して見せた後に、五十嵐君とストパが実際にスパーリングを行なって見せるというものです。日本でも稽古は何度か行なっていたので、後はもっと迫力が出るようにと、近くで行なっていた古武道?の技を掛けられた人のオーバーアクションを参考にしたりしました。昼食は会場近くの「銀座」という日本料理の店へ行きトンカツ定食をいただきました。店員は日本人ぽい顔をしているのですが、どうも違う国の人らしく米の炊き方も少し違っていたのですか非常に美味しくて、まだ2日目だというのに米の飯が懐かしくなっている自分自身を改めて「あー、俺は日本人だなぁー」と感じました。

少し休憩し、夜8時から本番スタート。約20の演武が行なわれる内、大道塾の出番は8番目でした。打ち合わせ通りスタート、観客は一万五千人くらいは入っていたでしょうか、自分のパンチに対して、まず従来の空手的な塾長の反撃。それから、空道のスタイル紹介。顔面マスクを付けていることでこんな事も出来るということを説明する為の塾長の頭突き…。これが効きました。試合を離れてしばらくですが、試合に出ていた頃もあんな凄い頭突きはもらった事がありません。それから投げに繋げる段取りだったのですが、一気に腰が落ちてしまい。無理やり立たせて投げるのは少し大変だったと後で塾長が話して下さいました。この頭突きの威力で後は余り覚えていませんが、ビデオを見たところちゃんと予定通り演武を行ない、大喝采を受けて引き上げている自分の姿を確認すると、我ながら体で覚えた事は凄いなぁーと感じました。

本番終了後は同じく演武を行なっていた極真会館の皆さんと合流し、打ち上げを行ないました。ここには松井館長や木山選手、成嶋選手の他、塾長とかつて同じ世界大会を目指して頑張っていた、南アフリカのウーテンボガート支部長。塾長が極真本部で黄色帯の頃一緒に稽古をされていたというヨーロッパの支部長なとどいう皆さんも出席され、握手、抱擁、乾杯などで旧交を温めあっている姿を見ると「青春時代に同じ目標を持って一緒に汗を流した者同士の友情は素晴らしいなぁー、俺も仲間を大切にするぞ」と大変感動しました。その後の詳細は省略します。

3日目「うーん飲み過ぎだ。気分がちょっと」という感じで起床。今日はセミナーです、自分は子供の部を担当させて頂きました。道衣に着替えて柔軟などを行なっていると、同じく道衣を着たフランスの子供達が代わる代わる、十字を切って礼儀正しく挨拶に来ます。「二日酔いの顔なんかしとれんぞ、俺は日本から来た、ちょっと気難しそうな武道家って感じて、子供達を引っ張ろう」とボーっとする頭に喝を入れて神妙な顔つきを作り十字を切って挨拶を返しました。日本で子供達に指導しているのと同じように、土田君の通訳の下、ゆっくりと基本、移動、組手と行ないました。とにかくフランスの子供達はみんなフランス人形みたいに可愛かったです。

午後の大人の部のセミナーは塾長の指導を真剣に聞く、地元塾生や空道に興味を持って参加した、他団体の皆さんで大盛況でした。フランスの地に確実に空道が根付いている事を確認しました。夜は、土田君お薦めのモロッコ料理をご馳走になりました。多くの塾生が今日でお別れなので別れを惜しみ、再会を約束しました。

4日目、実は当初の予定では昨日のセミナーが終わった時点で日本に帰国する事になっていたのてすが、初めてフランスに行く私や五十嵐君の為に塾長が交渉して下さり、一日観光の日を作る事が出来ました(塾長、本当にありがとうございました)。昼ご飯を土田君の職場の日本料理店でご馳走になり、塾生のファビアン氏の案内でスタート。ルーブル美術館、ノートルダム寺院、セーヌ川のほとり、エッフェル塔等々駆け足ではありましたが要所を押さえた観光スポットを回ってくれた、ファビアン氏に心から感謝です。夜は、土田君達と落ち合い、中華料理店で最後の晩餐を囲みました。

5日目、昨晩から体調を崩したので、最後の観光をしてくるとおっしゃる、塾長、五十嵐君を見送り、薬を飲んで一人ホテルで横になりました。こういう、大事な時に体調を壊す、わりと繊細な?自分が恨めしく、体調管理には気を付けねばと反省しきりです。午後6時、土田君達に見送られて出発。帰りの飛行機は、満員だったのですが風邪をひいている私の為に塾長が、乗務員に交渉をして下さり横になることの出来る席を確保して下さいました。又、五十嵐君も最後まで自分の為に心遣いをしてくれました。本当にありがとうございました。

月並みかも知れませんが、今回の遠征は本当にいろいろな人や事に感謝、感激、感動をさせられる事の連続でした。遠征に同行させて下さった塾長を始め、全ての人に「メルシー・ボク(大変ありがとうございました)」です。

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